みんなが他人とくらべあっている場所「ワイヤード」

人が集まって、自分と他人をくらべあっているネット上の場所を「ワイヤード」と呼びます。特にSNSと動画投稿サイトは巨大なワイヤードになっています。また、匿名掲示板、オープンチャット、ニュースのコメント欄、Q&Aサービスなども、くらべあいが行われていればワイヤードです。

※オンライン銀行、予約サイト、地図サービスなど、他人とかかわることのない場所はネットであってもワイヤードとは呼びません。

パーティ会場のような場所

ワイヤードは人がたくさん集まったパーティ会場によく似ています。にぎやかで、いろいろな声が聞こえてきます。ショーが行われたり、音楽が流れてきたりと、とても楽しい場所です。一方で、パーティに参加している人は、他人の目を気にしています。他人から見て恥ずかしくないかどうか気にかけ、みんなが自分を魅力あるように見せ合います。実際のワイヤードでは、参加者は「マウント」と呼ばれるメッセージ・写真・動画で自分の魅力を他人にアピールします

「勝ち組」「負け組」のイメージが生まれる

大勢の他人とくらべあううちに、ワイヤードの参加者の頭の中には「勝ち組」「負け組」とよばれる架空の人物イメージが作り出されます。

特に「勝ち組」イメージは、理想的なスペックをよせ集めたすごい人です。日本中、世界中の人がくらべあっているワイヤードで”勝っている”のですから、誰もがあこがれる理想のスペックを持った人物像になります(※)。また、勝ち組と同じように「負け組」のイメージも作り出されています。負け組はスペックの低さをよせ集めたとてもダメな人です。

ワイヤードでは、勝ち組っぽい人は「いいね」を集め、負け組っぽい人は叩かれます。またワイヤードの参加者は、勝ち組っぽい人を見ると不安を感じ、負け組っぽい人を見ると安心します。

※メディアでよく港区女子やエリートサラリーマンといった特集記事を見かけますが、まさにワイヤードで作り出された架空のイメージです(シミュラークルとも呼ばれます)。

終わりのない楽しさがある

ワイヤードは社会とのつながりの場所ですから人生に欠かせません。勝ち組を見たときのあこがれが成長のきっかけになります。マウントされてイラッとすることもありますが、仲間との楽しい出会いもあります。他人とくらべることが100%悪いことではないように、ワイヤード自体もまた100%悪いものではありません。

問題は、ワイヤードが「一度入ると抜け出しにくくなる力」を持っていることで、気付いた時には抜けられなくなってしまうことです。リアルのパーティには終わりがあって、みんな家に帰ります。しかし、ネットのパーティには永遠に終わりがこないのです。

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