人には、自分と他人をくらべようとする本能があります。心理学では「社会的比較(しゃかいてきひかく)」と呼ばれ、それ自体は悪いものではありません。
くらべた結果、「相手のほうが弱い」と思うと、自分への自信が生まれます。逆に「相手のほうが強い」と思うと、あこがれや、相手が言っていることを信じようとする気持ちが生まれます。ただし、あまりに強い人ばかりを見ると、あこがれよりも不安が大きくなります。
くらべる時のテーマ「スぺック」
他人とくらべる時には、何かのテーマでくらべます。こぐまワクチンでは、これを「スペック」と呼びます。ネットではよく、スペックが高い人はハイスぺ、逆にスペックが低い人はロースぺなどと呼ばれています。
スペックの例:
学歴、経歴、地位、肩書、年収、知名度、おもしろさ、ノリのよさ、コミュ力、スポーツの成績、見た目、性的魅力、BMI、筋肉・体格、恋愛の経験人数、結婚しているかどうか・離婚歴があるかどうか・子供がいるかどうか
これはほんの一部です。もっと細かいスペックでくらべられることもあります。例えば、一部のママさんのあいだでは「赤ちゃんを母乳で育てたか、ミルクで育てたか」といったスペックで他人とくらべるそうです。
スマホ・ネットの登場で本能が暴走をはじめた
もともとこの本能は、人がまだ草原で狩りをしていた頃に、小さな集団の中で生きるためにうまく使われてきました。しかし、技術が進化し、スマホ・ネットが登場したことで、この本能が暴走して悪い面が現れるようになりました。それまでは、くらべる相手の範囲はリアルでの知り合いに限られていました。それが突然、相手を「無限に」見つけられるようになったのです。